つばさM&Aパートナーズ

マーケットアプローチ

類似する市場や会社などを基準とする算出方法をマーケットアプローチと言い、具体的には以下のような方法があります。

市場株価法

市場株価のある上場企業のみに適用できる方法です。この方法では、過去数カ月分の株価の平均を算出します。

類似会社比準法

上場している類似会社の株価を基準として算出する方法です。

類似業種比準法

類似業種に属する上場企業の株価を基準とする方法です。この方法は、相続を目的とした株価算出時に適用されます。

類似取引比準法

M＆Aなどの類似取引を対象として株価を算出する方法です。この方法には、類似する取引を見つけるのが難しいというデメリットがあります。

インカムアプローチ

企業の将来性を基準とする算出方法が、インカムアプローチです。以下、3つの算出方法が該当します。

DCF（ディスカウントキャッシュフロー）法

企業が将来的に創出できると想定される自由に使える資金を算出し、それをもとに株価を決定する方法です。

配当還元法

将来の配当金を予測し、そこから株価を算出する方法です。

収益還元法

将来の予想利益額から株価を算出する方法です。

コストアプローチ

純資産額を基準とする算定方法が、コストアプローチです。具体的には、以下4つの方法が挙げられます。

簿価純資産価額法

純資産の総額をそのまま基準として株価を算出する方法です。

時価純資産価額法

純資産を時価に換算して基準とする算出方法です。

清算価値法

「正味売却価額」という指標を基準とする算出方法です。清算時に特化した算出方法となっています。

再調達原価法

所有している資産を再調達する場合にかかる費用を基準とする算出方法です。

非上場株式を時価よりも安く売却することは可能か？

非上場株式の売買においては、評価によって算出された金額をもとに取引が行われます。そのため、時価よりも安い金額であっても双方が合意し、なおかつ譲渡制限に抵触することがなければ売買を行うことは可能です。

ただし、時価よりも著しく安い価格で取引を行う場合には、本来は生じない問題が発生することもあります。売買価格について検討する際には、安値で取引することによって生じる問題についても考慮することが大切です。

注意したい税金の問題

時価よりも安い価格で非上場株式を譲渡する際に発生しやすいのが、税金の問題です。非上場株式の取引の場合、通常株式の取引とは課税対象となる所得や税金の算出方法が異なります。

仮に、時価よりも安い金額で非上場株式を譲渡することで双方に利益が生じたとしても、発生する税金額次第では逆に損失のほうが多くなってしまうということもあり、注意が必要です。

個人・法人で異なる税金額

非上場株式の譲渡に伴って発生する税金の金額は、取引を行ったのが個人か法人かによって変化します。例えば、個人が法人へ非上場株式を売却した場合、取引価格が時価の2分の1以上であれば問題はありません。しかし、2分の1未満だと時価での取引と見なされ、時価をもとに課税がなされるのです。これが個人間での取引だった場合、取引価格の「見なし」はされないため、実際の取引価格にもとづいて課税が行われます。